「ストリート・キッズ」ドン・ウィンズロウ。
この人はめちゃくちゃ売れっ子作家で、邦訳もたくさんあるのだが、今まで未読である。たまたま、シリーズ第一作を見つけたので読んでみることにした。
主人公のニールはストリート・キッズである。母親が売春婦でとっくに死んでおり、スリをして町中で生き延びていたところを義手の探偵グレアムに拾われる。
グレアムはニールの探偵としての才能を評価して、英才教育を施す。
やがて、ニールは成長してグレアムと同じ職業につく。実は、グレアムは大型プライベートバンクの重要顧客たちの表沙汰にできない事情を解決する探偵として生計をたてており、ニールもその仕事についたわけである。
そんなニールに来た依頼が、次の副大統領候補の一人娘が行方不明なので、選挙までに発見して連れ戻してほしいというものだった。
この娘は若いうちからグレており、何度も今まで家出を繰り返している。ニールは、娘が相当のヤク中であり、なのに実家にカネをせびらないことから、若い娘にとって最も簡単にカネが稼げる職業に従事していることを知る。
娘はロンドンにいるらしいことがわかり、ニールはロンドンに飛んで娘を発見する。予想通り、コリンとう名のろくでもない男につかまって、麻薬と引き換えに一番かんたんな職業に従事させられていた。しかし、娘は実家を毛嫌いしており、帰る気がない。実は、娘は父親に手を出されていたのである。それが原因でぐれていた。実は、この父親は娘とは実の親子ではない。
ニールは、ろくでもない男にうまく取り入り、娘をさらって田舎のコテージに連れていき、ヤクを抜くために一緒に禁断症状に立ち向かう。そのうち、娘に対して好意を持つようになるが、しかし、最後は娘を裏切って実家に引き渡さなければならない。ひそかに苦悩するニールのもとに、コリンが現れる。娘に自分のもとに帰れ、そうでなければコリンを殺すと脅迫する。娘は、ニールを救うために、自分の断ち切ったばかりの麻薬を注射して、再びコリンの奴隷になるからニールを助けてと言うのだった。。。
テンポの良いストーリー、絶体絶命のところで現れるグレアム、ちょっと苦いラスト。なんだか、上質の洋画のストーリーのような話である。こりゃあ、人気が出るわけだなあ。
評価は☆☆。
率直に面白い。
全体のテイストとしてはハードボイルドなのだが、しかし、ずいぶんとスイートである。マティーニでいえば、かなりベルモットを入れてジンは少なめ(笑)酔い心地も穏やか、というところでしょうか。
個人的には、もうちょい、ドライなほうがいいかな。しかし、それは自分が古い人間だからであろうかとも。
21世紀のハードボイルドと考えると、こういう口当たりのほうが正解なのかもしれないと思います。。。