Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

乱世を生きる市場原理は嘘かもしれない

「乱世を生きる市場原理は嘘かもしれない」橋本治

この本は、タイトル通りの問題提起というか、そういう視点を与える本である。だからといって、よくある「新自由主義批判」本ではない。そういう、こんな時代はダメなので、みんなでもとにもどりましょう的な言辞はない。著者は、そんなことを言っても何の役にも立たないことをよく知っているのである。

この本の中では、スーパーマーケットとコンビニの比較で説明した経済が白眉。これは、マーケティングの専門家でも納得すると思う。
消費単位が家族だとスーパー。それが個人になるとコンビニ。これから消費単位が再び家族に戻ることは当面ないので、そうなるとスーパーの復権は難しいと説く。しかし、スーパーがなくなれば、それはそれで不便。
こういう状態を、著者は「もうフロンティアではなくなった」と説く。そして、経済の発展にはフロンティアが必要だ、と。

「勝ち組」が、自分を「勝ち組」と言わない理由もそのとおり。一歩間違えば、明日は負け組。

橋本治は、「だからどうしろ」とは言わない。「こうなってるよ」で終わる。

今のライブドア問題につながる話も。つまり、M&Aは、日本の企業にとっちゃフロンティアなんだな。

評価は☆。
うん、悪くないんだけど。ただ、この本の続きが問題だよなあ。
更に続編を期待したい。回答がないと知っているけどね。