Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

韓国が危ない

「韓国が危ない」豊田在恒。

豊田在恒は、SF作家の御大である。エイトマンの脚本を書いていたことは有名だ。斯界では、特に「親韓派」として有名な人物で、ネットで嫌韓の風潮が出てきたときも、これを諫める発言をしていた。隣国について、あまり良い感情を持たないのが世界の中では大勢であるようだが、いたずらにこれを煽るのは慎むべきであるのは言うまでもないことだ。
そういう意味で、親韓派、知韓派としての豊田氏の存在は大きいものである。

その豊田氏が、ご本人もおっしゃるように「刺激的なタイトル」の本を出した。いったい、何があったのか?さては転向か?(笑)

読んでみて、なるほどなぁ、と納得。これは「嫌韓」の書じゃありません。そうではなくて、韓国の盧武鉉政権に対する、率直な「疑念」を提出したものである。

「疑念」とは何か?
現在の盧武鉉政権の中枢が、ほとんど左派学生運動家あがりの連中で、逮捕歴もちの猛者連中ばかりだというのは衆知の事実だ。その彼らの「左派路線」が、実は現在の韓国、ひいては日本をも危険に巻き込みつつあるという率直な警告の書である。

まず、盧武鉉政権は、植民地時代の対日協力者の一族について、罰する法律を施行した。これには、世界の法律家が呆れた。なんでかというと、法律で「過去に違法でなかったことを遡及して処罰する(事後法)」は普通あり得ないことだからだ。一例をあげれば、たとえば、税金だって法に基づいて徴収している。その税率を法改正してあげたとする。すると、今年から税があがるのが当たり前である。それを、「税率があがったから、過去10年分の差額の税も徴収します」と言えばどうなるか?そりゃ天下の悪法である。今定めた法を、過去に適用することは、ふつうはできないものである。
おまけに、その子孫を対象にするのだから、さらに呆然なのだ。先祖が対日協力者だったから、その子孫の財産を取り上げる、なんて法律は、世界に例がない。
で、この法律だが、狙いは実は「朴大統領」の子孫にあるのである。大統領選挙の対抗馬になりそうなので、「対日協力者」として宣伝してつぶそうとした。ところが、盧武鉉政権の中に、同じ基準(当時、少尉以上)でひっかかる者が居て大あわて。醜態である。

また、軍備の問題もある。韓国戦車の備砲は105ミリ砲である。これは、数が多いが質の悪い北朝鮮戦車に充分な威力を持つ。ところが、この備砲を120ミリに換装している。砲を大きくすると、携行できる玉数が減るから、対北戦では不利だ。なぜ、そんなことをするのか?
また、空母配備(独島という艦名だ)の問題もある。空母に、領土問題で揉めている島の名前をつける国は世界にない。ヘタをすれば戦争になるからだ。大体、北朝鮮とは陸続きである。じゃあ、なんのために空母がいるのか?
また、戦闘機も、北朝鮮のオンボロ戦闘機に対して充分優勢なF16だけでなく、更に最新のF15Kを購入しようとしている。なぜなのか?つまり、仮想敵国「日本」でないと、これらの装備の説明はつかないものなのである。
軍事絡みでは、韓米連合司令部の指揮権の問題がある。国際法的には、朝鮮戦争は休戦扱いだから、もしも有事が起こると、韓国軍は米軍指揮下に入り、一緒に戦うことになっている。これを、2011年に解消したいと言い出した。米軍は呆れて、もっと早く2009年でいいですよ、という。「もう見捨てますよ」の意味である。韓米連合の解消を言えば「帝国主義」の米国は拒否すると踏んでいた盧武鉉は大あわてである。この問題に関しては、韓国内部の人々から「戦争を誘発するのか」と抗議行動があるくらいだ。

つまり、今の盧武鉉政権は「米国帝国主義と、その手先日本帝国主義」という教条主義に陥っており、現実的な政策立案能力を根本的に欠いている、このままでは北朝鮮に「誤判」を与える、つまり「南進しても韓国は本気で抵抗しないから大丈夫」というメッセージを送っているものだと豊田氏は批判するのだ。
「かつて、先進国に追いつこうと必死で努力してた韓国の人々は素晴らしかった。朴大統領は、たしかに強権的なところはあったが、しかし、見事に韓国を成長軌道に乗せることに成功した。尊敬に値する」「当時、植民地から独立して、韓国のように成功した国はない」
しかし「今や、韓国は危機に瀕している」
そして「韓半島の不安定さは、いずれ日本にも脅威だ」と結ぶ。

評価は☆。
今や、世界は反米流行である。だから、盧武鉉政権の反米、親北的な政策を評価する日本人も少なくない。しかし、本当にそうだろうか?
目先のムードに流されて判断しているのは、ひょっとして、その反米親北派ではないのか?そういう日本人の「知識人の判断ミス」を、「地上の楽園」という文句とともに我々はよく知っているわけだし、今こそ韓国の国益に立つならば、盧武鉉政権は危険なゲームをしている、という豊田氏の指摘は重い。

親韓・知韓派が書いた現在の韓国を憂える書として、決して流行の嫌韓本ではないものである。一緒にしてはいけない。誠実な書として推薦。