Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

白昼堂々と贋物

「贋物大国」といえば、たぶんほとんどの方が、近傍の某国を思い浮かべるであろう。著作権も意匠もまるで無視、何でも有りですからね。

しかし、である。
我が国においても白昼堂々「贋物」がまかり通っているという事実を指摘したい。これは、ゆゆしき大問題である。国の恥である。

それは酒である。

日本の国酒といえば日本酒である。これは、少なくとも「醸造酒」と呼ばれるもののはずである。世界に類を見ない、並行複発酵という技術で作った、日本人の宝である。
近年、日本食が世界的にブームで、特にスシ、サシミ、テンプラの人気が高い。これらの料理には、やっぱり白ワインよりもサケが合うというので、日本酒もひそかにブームとなってきているのだ。

すわ、ビジネスチャンス到来である。ここのところ、国内生産品で輸出のチャンスが拡大している商品なんて、そうそうない。酒造業界あげて、いざ米大陸を開拓せん!

ところが。。。これがうまくいかない。それどころか、アメリカに輸入される日本酒のシェアで、日本は中国韓国に負けているのである。なんと、日本酒の輸出で負けるとは無念ではないか!

その原因であるが。
米「オー、コレ、ナンデスカ?」
日「サケです」
米「オー、サケ!デハ、分子分析シマス。オヤ、コレヘンデス!?」
日「何が変ですか?」
米「サケハ、醸造酒ナノニ、米由来デハナイアルコールガハイッテイマス」
日「それは、日本酒に添加したアルコールです」
米「アルコールヲクワエタ、ト?!ソレ、リキュールデスネ」
日「日本では、それでも日本酒なんです」
米「ソレヘンデス。醸造酒、ジョウゾウシテツクリマス。ソレイガイノアルコール、クワエタラリキュールデス。コレ、グローバルスタンダードデス!」

アメリカの税法では、リキュール類の酒税が醸造酒よりも高い。ワインなどの産業保護のためだと思うが。で、日本では安い普通酒が、アメリカでは高くなるから売れないのだ。

アメリカのグローバルスタンダードがおかしいのだろうか?しかし、確かに醸造してつくった酒を醸造酒。そのほかの果実や穀物を蒸留すれば蒸留酒ブレンドしたらリキュール類。これは明快ではないか。
そもそも、純米、つまり米と麹以外のものを使って、後からアルコールを加えてつくった酒を「醸造酒」と呼んでいいのか?それなら、ワインもブドウ以外のものを使って、焼酎を混ぜてもいい道理である。

そもそも、アルコール添加の始まりは、戦後の米不足に対応する緊急措置で、つまり「代用品」であった。すなわち、贋物である。その贋物を、ずっと日本酒と言って売ってきた。ここにも「暫定」がそのまま今日まで続く歪みがあるのですな(苦笑)。

考えてみれば、ビールだって、麦芽とホップ以外を使えば贋物である。だけど、副原料「米」は結構ある。日本人だから、そのほうがなじみがあるというのだが、そもそもビールに「副原料」なんてあったっけ?(笑)
ウィスキーだって、モルトとグレーン以外を使えば贋物。しかし、安酒には「スピリッツ」と書いてある。麦芽発酵させて蒸留してアルコールを抽出してモルト。連続蒸留すればグレーン。じゃあ、スピリッツって、いったい何のアルコールだよ(笑)普通にグレーンの量を増やせば、話はまだわかるんだが。

つまり、みんな贋物なのである。
驚く無かれ、日本もずいぶん贋物に寛容な文化なのである。
「どーして酒は良くて、オートバイやアニメを真似したらダメなんですか」
と聞かれたら、いったいどう答えましょうかね。

やっぱり、酒税法を改正して、こんな贋物はすべて「リキュール」とやった方が説明責任を果たせて良いと思うのだけどな。