Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

転機

どこの国だって、自国の国益を考えて動くものでして。そういう意味では、国際関係ほど、わかりやすいものもありません。

思えば、日米関係は、ソ連崩壊の時点で既に、先行きが危ぶまれても可笑しくないものでした。対ソ連の太平洋正面、それ以上の価値でもそれ以下でもないのが、そもそもの日米関係なんですから。

しかし、その後、思いも掛けず911が起こり「対テロ戦争」という枠組みで、小泉政権は対米協力を強化します。いわば、去ってゆく相手をなんとか引き留めようとする必死の努力でしょう。
で、恋愛の場合と同じく、たいがいそういう努力は、実を結ばないものです(苦笑)

私は、アメリカにとって「アジアの価値が相対的に低下した」のが、この意思決定の背景にあると思います。
イラク戦争に絡んで言及したことがあるのですが、そもそも日本の中東の石油依存度は9割に対して、アメリカは3割程度。それで、シーレーンを長々と守るのは、もはやアメリカにとっては負担が重すぎます。フィリピンからも撤退、韓国も縮小。流れは見えていた、というべきでしょうか。
次は、おそらく「日米同盟の見直し」になるでしょう。
日本は「思いやり予算」という金でアメリカを引き留めようとするでしょうが、しょせん、うまくはいかないと思います。金だけとられて、あとは知らないという結果になるでしょう。

もっとも、ごく当然の原理原則でいえば、自国民は自国で守らなければなりません。他国のために、自国民を犠牲にしたい国は、普通はありませんから。ただ、今の我が国にとって、そのハードルは高いでしょうなあ。

アメリカは、おそらく21世紀型モンロー主義への道を踏み出した、と思います。欧州はEUに任せればいい、アジアは中国にまかせればいい、ロシアは勝手に資源で盛り上がっていればいい。アメリカは、何をやっても文句を言われるだけなので、もう自分の幸福だけを考えることにしたのではないでしょうか。

日米同盟は、アメリカのためにあるので、日本のためにあるのではない。よく言われることですが。つまり、逆説的に言えば、アメリカがアジアを重視すべき理由がなくなれば、それでおしまいです。

その背後には、経済的に、米中日がそれぞれずぶずぶの関係になってしまったことが挙げられます。もはや、日本のみならず中国さえも、米ドル防衛を考えなければならない立場にあります。米ドルの価値が棄損すると、そのまま人民元高に結びつきます。そうなれば、もはやインフレを制止する手段がなく、中国経済は奈落の底に落ちます。もう一蓮托生になってしまいました。
イヤも応もなく、本音はともあれ、米中日は生ぬるい「友好」を続けていかなければならない立場にあります。アメリカは、もうアジアに手間をかけなくても良いのです。

さて。そうなるとどうでしょうか。

すぐに思いつくのは、日本としては「ロシアへの接近」という解です。先日、ロシアのプーチン元大統領が、急に珍しく「拉致問題は、とんでもないことだ。絶対に許されない」とコメントを発表しました。たぶん、ロシアは、アメリカの動きを先に知っていて観測気球を上げたのでしょうね。

しかし。とびつくのは危険があります。
ロシアの軍事力、資源、地政学的位置を考えれば、日本は連携をしたいと戦略的に思ってもムリがないのですけれども。

日米関係の距離拡大。ロシアへの接近。
このあとのパターンは、中米接近。ロシアの巻き返し。日本孤立、、、です。

つまり。大東亜戦争の前の「日英同盟廃棄」と、まったく同一軌道をたどるのではないか?という危惧です。

拉致家族は、取り戻さなければなりません。国民を守れない国家であれば、存在する価値がありませんから。それとともに、国家の安全保障を考えなくてはなりません。日米安保の忘却(廃棄などというかっこいいものじゃないでしょう)に向けて、ついに転機がきた、そういう感じを受けます。

6カ国協議といいますが、この北朝鮮問題が解決すれば、アメリカは6カ国協議から離脱することを表明しています。あとの安全保障については、残り5カ国で「勝手に考えろ」ということです。

「日米同盟後」の安全保障まで含めて、拉致家族を奪還できるかどうかが、我が国の未来そのものに対する回答になってくると思っています。それさえできないようでは、、、もう先がないと思わないといけませんね。。。