2009-01-01から1年間の記事一覧
さすがに宇宙人、なにを考えているのか分からない、では済まない。CO2排出量25%削減の件である。そもそも、京都議場書の段階で、1990年を基準にしたこと自体が、外交的敗北と言われているのだ。東西合併前の東ドイツと東欧諸国がそうで、なんと当時の…
「この狂乱するサーカス」ピエール・プロ。サンリオSF文庫につき絶版。フランスは意外にSF好きな国民性のようである。そういえば、日本のいわゆるアニメオタクも、多数フランスに生息しているそうな。なにか共通点があるのかもしれない。この作品は、197…
電車に乗っていると、昔はみんな漫画や新聞を読んでいたものだが、最近ではケータイをいじっている。若い人は、まずそうである。「漫画雑誌すら売れなくなった」出版不況の縮図だと、以前に書いたことがある。最近、なくしたら困るもののアンケートがあった…
私は、かつて易学に凝ったことがあった。なにしろ、悩みの多い凡夫だから、未来が不安である。その点、占いというものは、すこぶる便利に出来ているのである。占いが、当たるか当たらないかといえば、それは「当たる」。ただし、「ことの起こった後ならば」…
私は、今回の選挙で、いわゆる陣営の選挙参謀のお手伝いをした。私が行ったのは、3選挙区だった。いずれも自民党であった。ご存じの大逆風だったが、2つの小選挙区で勝ち、残り一つを比例復活にまで持ち込むことができた。小野田寛郎ばりにいえば「自民党…
どうやら、新聞の世論調査などを見ると、民主党は歴史的大勝利を収めるようである。自民党は壊滅状態。あの郵政選挙の真逆で、まさに栄枯盛衰は夢のようである、、、などと感慨に浸っていたら、師匠がひょっこりとやってきた。私「師匠様。まずは茶など」師…
少なくとも、前回の選挙は「郵政民営化」という政策が象徴した。たびたび「改革」という言葉が使われたが、正確には「行政改革」であったことは間違いない。「市場原理主義」と指摘されるように、小泉政権は明確に「小さい政府」を指向していたことは確かで…
「命の値段が高すぎる!」永田宏。副題は「医療の貧困」。妊婦たらい回し事件や各地の病院閉鎖、医師不足など「医療崩壊」がニュースになる昨今であるが、その元凶は「小泉医療改革」であると指摘されることが多い。しかしながら、そもそも小泉医療改革が何…
昨日、連休も最後であるので、暑気払いに老師をお誘いした。老師は、紀元前200年代に、世界の東西にハンニバルと項羽という天才戦術家が同時に存在したことを指摘し、私の蒙を啓いてくれた。あまりに卓抜な指摘に、思わず平伏する私であった。私「老師よ。い…
「水の城」風野真知雄。副題は「いまだ落城せず」。風野真知雄という作家は、たいへん面白い小説の書き手で、以前にこの書評でも「北の関ヶ原」を取り上げて激賞したことがある。題材の採り方がマニアックなのだが、妙な力の入らない文体も好ましい。本書の…
イタリア観光に行き、「ぼったくり」に逢った被害者が、イタリア政府の招待を「イタリア国民の税金を使うことになる」と断ったそうである。ニュースは、これを「美徳」と報じたようだ。まったくその通りだと、私も思う。くだんの男性は女性と二人でローマの…
「闇の左手」アーシュラ・K・ルグイン。大学時代に読んで、非常に印象に残った作品。いわゆるジェンダー問題を扱った作品は、どちらかというと金切り声系のアッチの世界系な(笑)作品が多いわけで、ジョアナ・ラスとかが典型。もはや小説の体をなさずに崩壊…
老師が久々においでになったので、茶など出して雑談をした。私「ところで、老師。このたびの解散総選挙のことですが」老「政治向きの生臭い話ならば、新聞やテレビで間に合うじゃろ。ワシに聞くな」私「いやいや、そうではなく。もっと些末な小市民な視点で…
「円周率を計算した男」鳴海風。江戸時代の日本の数学レベルが高かったことは有名である。本書は、江戸時代の和算家たちを取り上げた連作短編集で、冒頭作が表題の「円周率を計算した男」建部賢弘である。かの「算聖」関孝和の弟子であった。建部は、関の弟…
「孫は祖父より1億円損をする」島澤諭・山下努。副題は「世代会計が示す格差・日本」最近、この本を読んでたいへん衝撃を受け、再読していた。読めば読むほど唸るばかり、である。最近、格差問題というのでマスコミは大騒ぎしているが、世界でも日本は格差…
ご覧の通り、自民党は都議選において大敗しました。麻生さんは、決死の解散に打って出ましたが、これは儚い抵抗で、たぶん再び大敗し、自民党は下野することになるだろうと思います。もっとも、政権の座についた民主党が、そのまま安泰とも思われませんが。…
「ラスプーチン」コリン・ウィルソン。「賢者の石」で有名なCウィルソンによるラスプーチンの評伝である。日本でも西洋でも、ラスプーチンといえば「怪僧」「ロマノフ王朝を滅ぼした香具師」「ロシアの道鏡」みたいなイメージが定着している。そういえば、先…
「貧乏は金持ち」橘玲。橘氏は、前書きでこう言う。「みんなが好きな仕事に就けて、毎年給料が上がっていって、会社は一生社員の面倒を見てくれて、退職すれば悠々自適の年金生活が待っていて、病気になれば国が下の世話までしてくれる──そんな理想郷を勝手…
「論戦力」筆坂秀世。私は、元日本共産党の筆坂氏を、たいへん高く評価している。こんなことなら、現職のときに、もっと共産党を支持しときゃよかった、と思ったくらいである(笑)事実、たまに投票してみたりもする。もちろん、その主張を全部肯定している…
「ビアドのローマの女たち」アントニー・バージェス。サンリオSF文庫、絶版。バージェスは「時計仕掛けのオレンジ」で有名な作家。小説よりも、映画の方が有名だろうと思うが。人間の醜さとか正義とかに対する不信を画面いっぱい叩き付けたような作品だった…
先週、首都圏をおそったゲリラ豪雨にちょうど帰宅途中に遭遇してしまい、玄関についたら背広ごとプールに飛び込んだような有様になった。もちろん、風呂場に直行したわけだが、それから再び体調を崩し、すっかり風邪をひきこんでしまった。耳鳴りが治まった…
本当にやっかいな国の近所にあるものだと、つくづく我が国の不運を思わずにいられないのが北○鮮のことである。(伏せ字扱いだ、あんなもん)核実験に、ミサイル。だだっ子よりもひどく、国連の決議も議長声明もなんのその。6カ国協議も拒否で、みんな呆れて…
「農協の大罪」山下一仁。衝撃の書であり、書評で軽く内容を説明できるレベルではない。しかし、農業に関心を持つ人にとっては、間違いなく必読の書であるといえる。著者は最近まで農水官僚だった人であり、データの詳細さと説得力は抜群である。日本の官僚…
「アースウィンド」ロバート・ホールドストック。7000年後の世界で、惑星イーランに宇宙船が難破する。地球は石器時代に退行してしまっていて、銀河に広がったエレクトラ党という政権が、古い植民惑星イーランの再調査にやてきた、というわけである。再調査…
ここのところ、多忙で週末もオフィスにこもる仕事を続けていた。そうしたら、ついにやってきたんである。まず、左耳が「じ~」といいだした。耳鳴りである。いつもの難聴である。「これはいかぬ」と思ったが、まだ断続的なので「なんとかなるか」と思ってい…
公然と言ってはならないことなのだろうが、いい年こいた男が独身だと、社会的にはかなり不利である。たとえば、転職とか、昇進とか。結婚?は、あえて言うまでもないが、それはまあ、生物学的な必然だから、ちょいと除外して考えてもいい。どうして、このよ…
「競売ナンバー49の叫び」トマス・ピンチョン。サンリオSF文庫。20世紀アメリカのもっとも重要な作家、トマス・ピンチョンの代表作、らしい。ついでにいえば、競売ナンバー49とは、この小説の中で重要な役割を果たしている「トライステロ」のマークが入…
「奇策」風野真知雄。副題「北の関ヶ原・福島城松川の戦い」再読。今、NHKの大河ドラマで直江兼続を取り上げており、結構な視聴率であるらしい。個人的には、団塊の世代の大量退職が始まり、どっちかというと戦国大名そのものの「独立事業主」の話よりも、直…
「この世で一番大事な『カネ』の話」西原理恵子。この本は、たぶん賛否両論が激しいだろうと思う。今頃「蟹工船」に共感したり、あるいは「自分探し」を指向している人は、この本を評価しないだろうと思う。そういう理想論を(蟹工船は理想論のカタマリ)ぶ…
「フィーメール・マン」ジョアナ・ラス。サンリオSF文庫、絶版。アメリカのSF小説で、特に70年代を代表する三人は、ル・グイン、ウィルヘルム、そして本書のジョアナ・ラスである。ル・グインといえば「闇の左手」という代表作(しかも、SF小説の中でも名作…